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カウナス戦役 - 13

 ゲーベンバウアー侯爵の愛妾が暗殺者に襲われ生死不明。
 その報せを聞いてアヒカールの城主、マリア・ベルトリッチは部下に再度情報を確認させた。
(失敗しただと?)
 赤の将軍は再度同じ報告を聞くと、そうか、と呟いて椅子にもたれた。
「……下がってよろしい」
 そのまま目を閉じて眠るように考え込む。
「たかが一介の行商人ではありませんか」
 配属されたばかりの若い副官が恐る恐る尋ねた。
「予定外なのだ」
「は?」
「四万人もの徴兵令に対して暴動が起こらない。
 侯爵殿が突然四十歳年下の愛妾を囲う。
 不確定因子の暗殺には失敗する」
「……はぁ」
 理解できぬまま相槌を打つ副官。
「……一の事件の影には十の予兆があるのだ」
 ベルトリッチは目を開けるとペンを取り出し、上等な羊皮紙を見繕って何事か書き始めた。
「侯爵殿が何か考えていると?」
「先々代の第四軍司令官なのだよ。侯爵殿は。叛乱軍に呼応されれても、まあ……困る」
 ベルトリッチは壁に掛けられた帝国地図を見やった。ここアヒカールとカウナスは帝国の西端部、皇叔軍の勢力範囲は南部。協調は不可能だろう。背後で撹乱くらいはできようか。
「ゲーベンバウアー候がそのような人とは思えませんが……」
「愚か者ではないだろうな。……だからこそ事は慎重に運ぶだろう」
 そして事を起こすとしたら勝算あっての事だろう。
「直ぐに動かせる兵は?」
「明日明後日というなら一万程度かと。物資備蓄は問題ございません」
「そうか」
「リガやタリンの駐留兵を集めますか?」
「いや、それはいい。参謀どもにカウナス叛乱時の対応を検討させておけ」
 ベルトリッチがペンを置いた。書類に皇帝より賜った印を押す。
「召喚状だ。これをルーミスに。侯爵殿をここに召喚する」
「は、ゲーベンバウアー侯爵をここに?」
「応じなければ、そのまま逮捕すればいい」
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