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カウナス戦役 - 4

 ベイロス帝国の西部、第四軍管区の本拠地はアヒカール城塞という平原の城である。
 帝国暦200年頃の帝国拡大期に属領獲得の為の前進基地として交通の要所たるアヒカールの街を要塞化したのが始まりとされている。拡大期が終わるとそのまま1025年まで改修を繰り返された古き砦だ。

 皇帝の代理人たる第四軍司令官。竜騎兵団と魔騎兵団を擁する屈指の精鋭の将軍。炎の女とも死神とも呼ばれた美女ベルトリッチは、その執務室にて各所からもたらされる報告書に目を通すのが日課だった。
「カウナスでも市民による暴動が発生したとのことです」
「侯爵殿はすぐに鎮圧したか?」
 部下の報告に別の案件の書類を睨みつつ、問い返した。
「いえ…、市民を纏める若者と会談し市民を説得したとのことです」
「…ほう」
 怜悧なる女性は眉をひそめた。帝国の国是は恐怖による統治だ。
「よくそれで収まったな。その若者とは?」
「はい。教団などのコネを持つリューゼルという行商人とのこと」
「聞かぬ名だな。…有能な男なのか?」
「経歴は調査中です。特に背景は無さそうでは御座いますが」
 ベルトリッチは暫く思案したが、やがて次の書類を手に取った。
「手ぬるいが、まあそんなところだろう。下がってよろしい」

「…ああ、そうだ」
 彼女は付け加えた。
「その行商人の情報は要らぬ。代わりに首を刎ねておくように」


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